自家歯牙移植
歯のない部分が多ければ多いほど、入れ歯になることが多く、ブリッジにするとしても、歯のない部分が長ければ、構造的に、不利になります。
余裕のある部分から歯を移植すれば、状況はかなりよくなります。インプラントのような人工物ではなく、まったく自分のものなので、生着率は非常に良好です。異物反応も、まったく起きません。
特に、親知らずは、これまで噛み合わせに関わっていなかった場合が多いので、細かな亀裂等で弱くなっていることもなく、真っさらに近い健全な歯として扱えることが多く、経過も良好です。
(親知らずの移植のみ、保険が使えます)
移植は、抜歯した部分、新しく植えた部分の両方とも、ほとんど痛みはありません。新しく植えた部分は、新しい歯が包帯の代わりをし、血がうまく貼りついて、創面を保護するからです。抜歯した部分も、移植のために30分から1時間ほどの時間が経過している間に、完全に止血し、充分に創面を保護してくれるからです。
ほとんどの場合、移植前に歯の神経の処理をすませておきますが、より完全を期すため、移植時に、根尖孔(こんせんこう:根っこの先端の、処理の難しい部分)を、合成樹脂で封鎖しておきます。このことによって、より確実に、長期間にわたって、健全な歯として使うことが可能となります。←この技術は、再植による歯根端切除も活かされています。ご参照下さい。
なお、この模式図では、新しく植えた歯の周囲にすでに骨があるように書いてありますが、実際は、手術直後は、周囲1~2ミリが骨のない状態で、かなりグラグラです。約一か月間、周囲の歯と連結固定しておくことで、新しく骨ができてきて、ほとんど動かない状態となります。