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第23回日本歯科医学会総会

平成28年10月21日(金)~23日(日)まで、福岡国際会議場/福岡サンパレスで開催されました第23回日本歯科医学会総会に参加して参りました。
この学会は日本の歯科医学界の中心・頂点に位置する学会で、演題もバラエティーに富んでいます。この数年、日本の歯科医学の傾向は、高齢化社会に対する歯科医学の対応、といったところにあると思われます。もはや待ったなしの高齢者への対応は、当然のことながら体力の弱られた患者様への対応力が要求され、歯や入れ歯だけを対象にするような考え方では対処できなくなってきつつある、ということが実感です。今だけではなく、かなりの長期にわたっての体の弱りに対応できる歯科的な対応が望まれますが、人類初といってもよい日本の超高齢化社会の到来は、お手本がない分、何をすべきなのか、どの方向に進めばいいのかさえ分からない、といったところが現実かと思っております。あるいは、社会の進歩や高度化が進むにつれてストレスが高まっていることもまた事実であるようで、患者様のニーズの高まりとも相まって、昔なら治療の対象とならなかった、あるいは疾患とさえ認識されていなかった歯ぎしりや食いしばりや睡眠時無呼吸などが、重要かつ必須の治療対象という認識が固まりつつあるように感じております。
そんなこともあって、今回は『高齢化歯科のキーワードは栄養である』と『ブラキシズムを口腔と全身との関わりから再考する』の二つのシンポジウムを、興味深く聞かせて頂きました。
高齢問題に関しては、歯の喪失による咀嚼能力の低下が、老化を加速している可能性が極めて高く、やはり口から噛んで、きちんとした栄養摂取をすることが、老化を遅くさせ、健康な状態を少しでも長く維持するためには必須であるということが、複数の先生が異口同音に述べられました。
一方のブラキシズム、つまり歯ぎしり・食いしばりと全身の関わりについては、少し首をかしげることが多くありました。一般的には睡眠時のブラキシズムが注目されがちではありますが、日中の覚醒時でも作業中等に食いしばりは起きていて、労働衛生コンサルタントとして、興味のあるところであります。睡眠時ブラキシズムと覚醒時ブラキシズムとではメカニズムに違いがあるとの研究結果が発表されたものの、共通の対処法として一番一般的で効果的であるとして数多く使用されるスプリントは、就労時間が長くなりがちの労働現場においては、齲蝕発生の危険性をはらんでいますので、歯科医師としては違和感があり、また労働時に多少たりとも発音・発声にマイナスを惹き起こすスプリントでは、労働災害に対する危険性は増すのではないかという危惧も考えられます。
そういったことから、覚醒時のブラキシズムに関して、何かもうひと工夫、いい知恵は出てこないのか、というのが偽らざる感想となりました。
博多は食べ物もおいしく、風情もあって好きな街です。物価も、大阪や東京より安く、日頃お世話になっている先生方や同級生たちと食事をするのにも最適な街です。今後も、また何か機会があったら訪れたいと思っております。

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