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第33回日本接着歯学会学術大会

平成26年12月13日(土)・14日(日)に、ニチイ学館 神戸ポートアイランドセンターにて開催されました、第33回日本接着歯学会学術大会に参加してまいりました。
風の強い中ではありましたが、日差しはありましたので、さほど寒さを感じることはありませんでした。
接着歯学は、理論通りの性能が発揮されるならば、素晴らしい技術であるに違いはないのですが、実際の臨床上は、必ずと言って良いほど経時的な劣化が見られ、何年か経過していくうちに、失敗、あるいはそれに近い状態に陥ることがしばしばあります。
歯牙への接着技術が開発されて約30年、これまでに多くのレジン本体の物性の改良が重ねられてきましたが、やはり『接着は今一つ信頼が置けない』というのが私の実感でした。
今回、それを裏付けるかのような、『樹脂含浸層のコラーゲン線維網の加水分解が起きている』という研究が発表されたことにより、『これによって、接着歯学の限界が示されたのかもしれない』という思いを強くしました。 すなわち、これまで接着歯学の根幹をなしてきた『樹脂含浸層』のコラーゲン繊維が加水分解されるなら、理論の土台が危うくなったわけで、『コラーゲン線維の加水分解の抑制』という、これまで考えもしなかった課題を解決しないことには、接着歯学は今以上の発展は困難で、臨床的な不確実性を残したまま、ということになります。
研究者の先生たちは、『加水分解の抑制・阻止』という命題を突きつけられたわけで、今後の研究を待ちたいところです。
しかし、水の少ないところでは、接着材料の耐久性は確保されているはずで、今回も発表された『モノブロック構造体』、すなわち失活歯において、根管充填、支台築造、そして最終修復までを一体化して補強するという概念を、いかに確実に行えるかという手法が今後改善されれば、強度的・経時的にかなり良好な結果が得られるはずで、コラーゲンの加水分解の影響をあまり受けない部分での接着歯学活用の考え方として、かなり煮詰まってきたように思えました。
今回の学会は、私の母校である大阪大学歯学部が主管しておりましたし、神戸という近い場所であったということもあって、たくさんの知り合いに出会えて、食事をしながら等々、さまざまに語り合うことができ、たいへん有意義な学会参加となりました。多くの有益な公式・非公式な情報をお教え下さいました皆様に、この場をお借りいたしまして、御礼申し上げます。

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